東京の新橋、神田、五反田などは中小企業の中心地として知られており、多くの中小オフィスビルが存在しています。しかし、これらのビルは築40年から50年が経過し、老朽化が進んでいます。ビルの大規模修繕だけでなく、建て替えを考える時期に来ており、オーナーたちは持続可能性の問題に直面しています。中小ビルオーナーは大規模デベロッパーではなく、地元の中小企業や個人が所有しています。彼らは自営業者としてビル経営を行い、副収入を得ていますが、建物を建て替えることができないため、将来の不安があります。
築年数が40年を超えると、設備や配管に問題が生じやすくなります。大規模修繕には高額な費用がかかりますが、多くのオーナーは積立金を十分に準備していません。また、テナントが入らないために設備更新を躊躇しているオーナーもいます。さらに、大規模修繕や建て替えに必要な資金を銀行から借り入れることができないケースも多いです。建て替えには既存のテナントの立ち退きが必要であり、立ち退き料や解体費用が高騰しているため、負担が増えます。
建て替えにかかる費用は非常に高く、回収には20年から30年以上かかることもあります。そのため、銀行からの融資が難しく、オーナー自身の余裕資金も限られています。さらに、建て替え後の賃料相場の上昇も限定的であるため、ビル建て替えは事業計画として魅力的ではありません。このような状況により、中小ビルオーナーはビルの老朽化問題に直面しており、解決策を模索しています。
【中規模オフィスビルの新設着工棟数】
出所:みずほ信託銀行株式会社「不動産トピックス」
具体的には、これから大規模修繕、建替のタイミングを迎えると言われているビルが日本には約40,000棟あると言われています。これらのビルは、オーナー自身に大規模修繕や建替の資金がない場合、中小ビルのバリューアップを得意とするデベロッパーもしくは不動産小口化スキームを使用して建替を行う企業、複数ビルをまとめてより大きなビルに建替を行う再開発デベロッパーへと売却され次の時代のまちづくりへと活かされていきます。