Metapropは、不動産テクノロジーに特化した、ニューヨークを拠点とするベンチャーキャピタルです。2015年の設立以降、全体で175社以上のスタートアップに投資をしてきました。
https://www.metaprop.vc/
ベンチャーキャピタルとは?
ベンチャーキャピタルとは、上場を目指すスタートアップ(非上場企業)に投資を行い、上場時もしくは大手企業によるM&A時の株式売却益でリターンを出す投資ファンドです。日本は、東証グロース市場への上場が比較的容易なため、新規上場(IPO)時に株式を売却して利益を確定させることが多く、欧米では大手企業やメガベンチャーが買収したタイミングで株式を売却することが多いです。
日本でも、スタートアップへの投資規模は毎年増加しており、2022年度は約9,000億円の規模になっています。
参考:2022年 Japan Startup Finance
日本政府も、積極的に支援をしており、岸田内閣では2022年を「スタートアップ創出元年」と位置付け、スタートアップ担当大臣を設置したほか、過去最大規模となる1兆円の予算措置を閣議決定した岸田内閣。11月24日には、こうしたスタートアップ育成強化の方針となる「5カ年計画」が発表されています。
参考:5ヵ年計画
同計画では、スタートアップへの投資額を2027年度には10兆円規模に引き上げるほか、スタートアップを10万社創出し、その中からユニコーン企業を100社創出することを目標に掲げている。具体的にどう達成を目指すのか。発表された計画の取り組みをまとめています。
不動産テクノロジーに特化したベンチャーキャピタルとは?
ベンチャーキャピタルの中には、特定の領域に特化して投資を行っているファンドが存在します。投資ポートフォリオの観点で考えると、様々な業界に分散投資する方が良さそうな気がしますが、ベンチャーキャピタルには投資実行後のハンズオン支援(スタートアップを成功させるための経営支援)などが求められるケースも多く、そのような場合には特定の領域に特化することによって、ノウハウや顧客ネットワークを集積させることが効果的になります。
metaprop.は不動産テクノロジーに特化しており、アクセラレータープログラムを通じて、創業前後の段階から支援を行っております。そのため、これまでの投資実績を見ても、ほとんどがプレシードまたはシードと呼ばれる初期の段階で出資を行っているケースが多いです。
【アクセラレータープログラムの内容】
• 最大 250,000 ドルの融資
•ビジネスの成長と市場浸透の促進に重点を置いた 22 週間のプログラム
•業界の意思決定者、技術パイロット、主要な情報源、投資資本、国際メディアへの厳選されたアクセスと紹介
•独占的なパイロット デイおよびデモ デイへの参加、および地元、国内、国際的な業界ラウンドテーブルやネットワーキング イベントへの割引または無料の多数の参加
• MetaProp のRE200 業界メンター ネットワークから選ばれた経営幹部レベルのメンターとのペアリング
•戦略、資金調達、メディア対応とPR、社内人材採用、事業開発、販売、デジタルマーケティングを含む、プログラム中のMetaProp VCプラットフォームサービス
•コンソーシアムプログラム パートナーおよび無料の商品やサービスへのアクセス
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なぜ、不動産テクノロジー(Proptech)なのか?
不動産は全世界で約300兆ドルという世界最大のアセットでありながら、変革が最も遅れています。(融資や株式などの金融資産は200兆ドル、最近登場してきた暗号資産が5,000億ドル)
また、COVID19でオフィス利用率は、コロナ前の50%程度に留まり、かつオフィスなどの商業不動産ローンは変動金利を適用しているものが3割程度と言われています。
商業用不動産の利回り低下、利上げによる商業不動産ローンの金利上昇が、これまでの不動産マーケットに大きな変化をもたらし、テクノロジーによって既存サービスが淘汰される新たな時代を迎えるかもしれません。
日本は、不動産マーケットはアメリカの4分の1程度ですが、不動産スタートアップの資金調達は20分の1程度と、不動産マーケット規模の割には資金が集まっていない領域と言えます。また、アメリカでは数千億円、数兆円の時価総額規模の不動産スタートアップが登場しているのに対して、日本は上場しているGAテクノロジーズで450億円程度と1~2桁規模が違っています。だからこそ、まだ伸び代が大きいと考え、metaprop.はAPACの拠点を設置するなど、日本やアジアへの投資を拡大しています。
まとめ
今回は、少し切り口を変えて不動産テクノロジースタートアップに投資するファンドをご紹介しました。不動産は、マーケットが巨大なため、これまでもスタートアップによる挑戦が試みられた領域ですが、既存の商慣習や既存プレイヤーの情報の囲い込みが強く、なかなか主要な不動産ビジネスではスタートアップが生まれづらい状況でした。今、COVID19やアメリカを中心とした利上げをきっかけに不動産のあり方が大きく変化しようとしています。