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アメリカのオフィスが危ない?日本への影響は?

アメリカの商業用不動産には潜在的なリスクがあるとの懸念が高まっています。商業用不動産向けの融資をまとめて証券化した金融商品である商業不動産担保証券(CMBS)の価格急落が金融機関を直撃する可能性や、中小銀行からの商業用不動産融資の減退が銀行の経営に影響を及ぼす可能性が指摘されています。


米シリコンバレーバンク(SVB)の破綻をきっかけに、アメリカの商業用不動産(Commercial Real Estate、CRE)には潜在的なリスクがあるとの懸念が高まっています。商業用不動産向けの融資をまとめて証券化した金融商品である商業不動産担保証券(CMBS)の価格急落が金融機関を直撃する可能性や、中小銀行からの商業用不動産融資の減退が銀行の経営に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

アメリカだけでなく、欧州でも同様の懸念が存在しています。欧州中央銀行(ECB)は商業用不動産に投資するファンドの急速な拡大が金融安定のリスクとなっていると警鐘を鳴らしており、市況の悪化により不安定化する可能性があると指摘しています。

商業用不動産の市場規模は膨大であり、米国だけでも5兆6000億ドルに達しています。商業用不動産ローンは住宅用不動産に比べて貸付比率が高く、金利の引き上げなどの逆風により影響を受けやすいとされています。また、新型コロナのパンデミックによる在宅勤務の普及も商業用不動産市場に影響を与えました。企業のオフィス規模の縮小や都心からの移転などが進行し、オフィスの空室率が上昇しています。

商業用不動産ローンの分野では異変が起きており、コロンビア・プロパティ-・トラストやブルックフィールド・アセット・マネジメントなどが債務不履行(デフォルト)を起こしています。市場は商業用不動産を対象とした上場不動産投資信託(REIT)の組み入れ資産の減少を織り込んでいるとされています。

【商業用不動産の融資元の内訳】

出所:Bloomberg

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商業不動産ローンは米国の銀行の大部分が保有しており、そのうち中小規模の銀行が8割近くを占めています。今年から来年にかけて多額の商業用不動産ローンが償還期限を迎えるため、借り換えのピークが訪れる見通しです。中小規模の銀行は商業用不動産ローンへの傾倒が顕著であり、商業用不動産市場の悪化による影響も懸念されています。

このような状況において、米国の中小規模の銀行の貸し出し姿勢が厳しくなると、商業用不動産ローンの借り換えの失敗が頻発する可能性があります。これが実現すれば、次の金融危機の震源地となる可能性もあります。

以上のように、アメリカの商業用不動産には潜在的なリスクが存在し、それが日本にも影響を及ぼす可能性があります。商業用不動産市場の不安定化や融資の減退により、金融機関や投資家に大きな影響が及ぶことが懸念されています。金利上昇、空室率の上昇、金融機関の貸し渋りという3つの要素がトリガーになると考えられていますが、日本はまだそこまで顕在化した課題があるわけではありません。ただ、ファンドなどの不動産保有割合が大きい海外で不動産価格の下落が起これば、東京など外資系ファンドの買い手が多い不動産マーケットは影響を受ける可能性があります。今後も、注意深く市場の動向を見極める必要があります。

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