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日本の事業用不動産をたくさん買っているのは?

日本の事業用不動産の取引は、取得額ベースで見ると、J-REIT・外資系・SPCが大きい。これまでは、不動産会社および不動産会社等に付随するリート法人が不動産取引を牽引していたが、直近は外資系やSPCなどの参入が存在感を増しており、新しい資金が流れ込んできている。


日本の事業用不動産市場では、取引額ベースで見ると、J-REIT(不動産投資信託)・外資系企業・SPC(特定目的会社)が大きなシェアを占めています。以前は、不動産会社や関連のリート法人が主導して不動産取引が行われていましたが、最近では外資系企業やSPCなどの参入が増え、市場に新しい資金が流入しています。

大規模物件の取得によるJ-REITの活動は一巡し、取得金額は減少しています。不動産価格の上昇や利回りの低下により、バリューアップが必要な築古ビルを中心にポートフォリオの入れ替えが増えています。投資家は、将来的な成長や収益性の向上が見込まれる物件に注目し、ポートフォリオの再編成を行っています。

J-REITは2021年まで一貫して買越(取得物件の数が売却物件の数を上回る状態)を維持し、物件の集約が進みました。J-REITが一度不動産を取得すると、売却するケースは限られています。このため、市場の供給と需要のバランスは安定化してきました。しかし、2022年にはインベスコオフィスジェイリート投資法人の物件売却やJ-REITの取得金額の減少などにより買越が減少しました。一方で、SPCやAM(私募ファンドなど)の買越は増加しており、市場の私募化の傾向が進んでいることが窺えます。

【属性別 買越・売越状況】

出所:一般財団法人日本不動産研究所「不動産取引市場調査」(2022下期)

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外資系プレーヤーも日本の事業用不動産市場で重要な存在です。彼らは2007年上期に約9,100億円という当時の市場を席巻するほどの取得金額を記録しました。リーマンショック後は取引が減少しましたが、2013年上期からの金融緩和政策の開始後、外資系プレーヤーによる取引が再び活発化しました。特にコロナ禍以降も外資系プレーヤーによる取引が目立ち、2022年上期の取得金額は約1.1兆円と、2007年上期を上回る過去最高額となりました。ただし、2022年下期は金利上昇への警戒感などから取得金額が約4,500億円まで減少しており、今後の動向が注目されています。

日本の事業用不動産市場では、J-REIT、外資系企業、SPCなどの買い手の存在感が大きくなってきています。これにより市場は多様化し、新たな資金や視点が市場に流れ込んでいます。投資家は将来の成長性や収益性を重視し、ポートフォリオの選定や再編成を行っています。今後も市場の動向に注目しながら、事業用不動産の買い手の活動を見守っていきたいと思います。

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日本は、1980~90年代に建設されたビルが多く、築40年を経過して老朽化が進んだビルが増えてきました。ここでは事業用の不動産に関する情報および不動産DXに関する情報発信を行っています。(掲載記事の多くは、試験的にChatGPTにライティングをお願いしています)